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灰干しだから美味い干物

干物は干さねば干物にならぬ
だが干せば空気と紫外線が素材の鮮度を奪い、酸化させる。
美味い干物は鮮度が命。
ならば酸化させない干しを極めれば干物は美味くなる。
それを極めたのが灰干し乾燥製法。

干物の鮮度は干しで決まる

干物と呼ばれる食材には機械乾燥・天日干しなど、色々な製法があります。それぞれ特徴はあるのですがそのどちらにも共通した点があり、それは空気に触れさせて乾燥させ、干物にするという点です。
「それって当たり前じゃないの?」と思うかもしれませんが、忘れてはならないのは時間と共に食品に訪れる「酸化」という問題です。
いくら素材の鮮度を高めても、加工の時間を短縮しても干物を作るための「干す」という工程には必ず時間がかかります。
つまりどんな新鮮な素材を使用しても鮮度が落ちるという問題があるのです。

空気と紫外線が素材の酸化を起こす

干物で「酸化」とは、干物の身や皮が黒っぽくなったり、味が落ちたりするということをそう呼びます。干物を作る際に空気に触れる、紫外線にさらされるという時間を取ると必ず酸化が起こります。つまり、干物を作るということは新鮮な魚を傷める(酸化させる)という事に他ならないのです。

美味い干物の条件において、魚という素材を使うということを考えた場合、先ずは素材の鮮度が一番です。しかし、干さないと干物は出来ない…干すと鮮度が落ちる…。
では、どうすれば鮮度を保持したまま干物を作ることが出来るのでしょうか?

答えは、紫外線と空気をシャットアウトするれば干物の酸化は抑えられるのです。

だから灰干し干物は美味い

空気と紫外線を出来るだけシャットアウトした状態で干物にする製法、それが「灰干乾燥」という干物の製法です。

魚の身を酸化させずに新鮮な状態で干物にする「灰干乾燥」製法は灰の中に水分を通すセロファンに包んだ魚を入れることで、空気と紫外線に極力触れさせずに乾燥させます。酸化がほとんど進まない状態での干物だから、出来上がった干物の鮮度は非常に高く、その鮮度の高さは、そのままお酢で〆てお寿司に出来るほど。